📖読書感想📖 「信頼されるカメラマン」になるために── 撮る喜び、感謝、誠実に。| ビジョナリーカンパニー2からの気づき

こんにちは。カメラマンの下山です。
カメラマンとして仕事を始めてから、気づけば何年も経ちました。写真・動画・ドローンなど、いろいろな機材を使って多くの現場に立ち会ってきましたが、最近ふと「自分は何のために撮っているんだろう」と立ち止まる時間がありました。
そんなときに出会ったのが、『ビジョナリー・カンパニー2』という本です。この本の中で紹介されていた「3つの円」の考え方──「情熱」「経済的原動力」「卓越性」──が、自分の仕事を整理するヒントになりました。
1. はじめに──3つの円と向き合う
この「3つの円」は、簡単にいうとこういうものです。
- やりたいこと(情熱)
- 食べていけること(経済性)
- 自分ならではの強み(卓越性)
この3つが重なるところに、自分の進むべき道がある。そう気づいてから、今の仕事のスタイルや大切にしている考え方がはっきりしてきました。
2. 情熱の円:「感動を与える仕事」
私が撮影で一番大事にしているのは、「写真を撮る」ことそのものよりも、「撮影の体験」です。
カメラを向けるその前から、「どんな風に撮られたいか」「何を伝えたいのか」を一緒に考える。撮られる人の緊張をほぐし、安心して任せてもらえるように気を配る。ただ良い写真を撮るのではなく、その場が心地よい時間であることを大切にしています。
そして何より大切なのは、“誰のための写真か”を見失わないことです。
カメラマンという仕事は、得てして「自分が撮りたい写真」や「自分の世界観」を優先してしまいがちです。もちろん表現としての写真も素晴らしいのですが、私は作品を撮りたいのではなく、クライアントと一緒に“求められている写真”を撮りたいのです。
それを一緒に考え、並走しながら形にしていくこと。たとえ完璧じゃなくても、その人の気持ちがちゃんと写っている写真を残すこと。それが私の「やりたいこと」です。
写真を“自己表現の手段”としてではなく、“誰かの役に立ち、伝わる手段”として扱うこと。そんな姿勢がもっと広がっていけば、撮影の現場はもっと温かく、誠実なものになると思います。
3. 卓越性の円:「技術と信頼を積み重ねる」
もちろん、技術も大切です。私はプロとして、できる限り「ムダがない準備」を心がけています。
- 撮影機材はシンプルに、でもちゃんと対応できるものを
- 撮ってすぐiPadで写真を一緒に確認するなど、クライアントとのコミュニケーションを重視
- 撮られる人にとっても、クライアントにとっても安心できる現場づくり
「このカメラマンなら流れもわかってるし安心して任せられる」と思ってもらえることを意識しています。
撮影が終わったあとに「きれいに撮ってくれてありがとう」だけではなく、「一緒にできてよかった」と思っていただけることが何よりの評価です。
4. 経済的原動力の円:「続けられる仕事のかたち」
フリーランスとして仕事を続けるには、「やりがい」だけでは足りません。「ちゃんと食べていける」「依頼され続ける」仕組みが必要です。
- 撮影・納品まで自分で完結できる体制
- 動画・写真・ドローンなども一手に引き受ける
- スピード納品、コスト管理、柔軟な対応力
依頼しやすい・任せやすい仕組みを整えることが、結果として次の仕事につながっていくのだと思います。
5. 中心にあるもの:「信頼」というブランド
私が目指しているのは、「信頼される存在になること」です。
撮影後の仕上がりももちろん大事ですが、本当に大切なのは「その人にお願いしてよかった」と思ってもらえるかどうか。
世の中には私よりも写真が上手な人がたくさんいます。構図も色も完璧で、「さすが!」と思う作品ばかりです。
でも、上手な写真が「求められる写真」とは限りません。写真には正解がありません。「クライアントが本当にほしい写真」は、依頼する人や状況によって違います。
だから私は、いつも一緒に考えることを大切にしています。その気持ちに寄り添いながら、一緒にゴールを決めていく。そのプロセスそのものが、信頼につながると思っています。
6. 私のビーハグ(BHAG)──めざす未来のかたち
「ビーハグ」とは、“Big Hairy Audacious Goal”──大胆な長期目標のことです。
私のBHAG、この仕事を通じて実現したいビジョンは、次のようなものです。
「感動を生み、再現性のある撮影体験で信頼を築く。写真・動画・ドローンを通じて、“またお願いしたい”と思われる存在となり、論理と感性、対応力とスピードで選ばれ続ける撮影パートナーになる。」
写真を誰かの役に立ち、伝わる手段として扱える人が増えていくこと。そのために、まずは自分自身がその姿勢を体現していきたいと思っています。
7. おわりに──この仕事が楽しいと思える理由
写真を撮るという仕事、動画を撮るという仕事、ドローンを飛ばすという仕事。
私にとっては、どれもとても楽しく、特に人物撮影は「その人の良いところを見つけて、それをさらに良くする作業」だと思っています。
そして、その写真を見て「嬉しい」「ありがとう」と言っていただける瞬間が、私にとって何よりの喜びです。
時には、普段の生活では絶対にお会いできないような素晴らしい方を撮影させていただく機会もありますし、自分ひとりでは到底たどり着けないような特別な場所に連れていっていただくこともあります。
そのすべては、私の力ではなく、クライアントが運んでくださったご縁の中で得られた経験です。
私は、クライアントに喜んでいただけることが自分の喜びであり、何より本当に楽しいです。
私が大切にしたいのは、誰かの想いと一緒に、写真を創っていく仕事です。
この3つの円を軸に、「撮る」ではなく「伝える」仕事として、これからも自分らしく、仕事を続けていきたいと思っています。
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