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📖読書感想📖ナシーム・ニコラス・タレブ 反脆弱性 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

今年いちばん印象に残り、気づけば考え方にまで影響していた本が、『反脆弱性』です。読み終えてからも、何か判断するときに「もしタレブだったら?」と考えるようになりました。

反脆弱性(はんぜいじゃくせい)とは、「脆い(もろい)」の反対の考え方です。ただ壊れにくいという意味ではなく、壊れることで、むしろ強くなる性質のことです。

たとえば筋肉がそうで、鍛えると一度ダメージを受け、回復することで前より強くなります。守り続けるより、適度に負荷を受け入れたほうが結果的に強くなる。反脆弱性とは、そんな言葉です。

この本で特に印象に残ったのが、「ブリコラージュ」という考え方でした。完璧な計画を立てるより、手元にあるものでやってみる。最初から正解を探すのではなく、試して、失敗して、うまくいったものだけを残していく。理屈はあとからついてくる、という姿勢です。

読んでいて、これは自分がずっとやってきたやり方なのではないかと感じました。最初からきれいな目標があったわけではなく、その場で調整し、ダメならやめて、続けられそうなものを残す。その繰り返しで今に至っています。

また読み進める中で、タレブが描いている「とにかくやり続ける」という態度は、典型的な投資行動なのではないかと思うようになりました。それは、将来どう役に立つかは分からない。成功確率も測れない。他人から見れば無駄に見えるかもしれない。でも本人は強く惹かれ、ハマっている。そういう対象に、時間や注意、労力を継続的に投入することです。

失敗しても、ほとんど失うものはなく、うまくいったときだけ、大きく返ってくる。だからこれは、とても割のいい「自分への投資」だと思いました。

本を読み漁ること。技術に没頭すること。表現を磨き続けること。現場に立ち続けること。これらは、うまくいかなくてもゼロにはなりません。でも、ある瞬間にふと跳ねることがあります。

重要なのは、「他に何を見るわけでもなく」という点です。多くの人は、効率を気にし、回収を急ぎ、意味づけを先に求め、他人の評価を参照します。その結果、注意が分散してしまいます。

一方で、自分が熱中したことを、とにかくやり続ける。それは、一点に集中させ、偶然との接触回数を増やし、深さを獲得していく行為です。成果を狙うというより、環境に身を置き続ける、という感覚に近いのかもしれません。

タレブは、うまく説明された成功談より、失敗しながら生き残った事実を信じろと言っています。「失敗しないように生きた結果、変化に耐えられなくなる」。この言葉は、かなり刺さりました。小さく失敗し、修正し、捨てて、残す。そうやって動き続けている人は、すでに反脆弱な場所に立っているのだと思います。

この本は、考え方の角度を少し変えてくれる本でした。正解を探すのではなく、世界の中でどう立つかを考える。それが、今年いちばんの収穫です。

やっと上巻を読み終えました。以前、タレブの本に挑戦しようと『身銭を切れ』を手に取ったことがありましたが、難しくて途中で挫折してしまったことがあります。

今回は、理解しにくい部分はAIに助けてもらいながら読み進めることで、内容を噛み砕きつつ最後までたどり着くことができました。読書の仕方そのものが、大きく変わった一年だったと感じています。

これから下巻へ。年末年始に、じっくり読み込みたいと思います。

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