AIで準備した台湾旅行で大失敗|現金トラブルと人に救われた体験【後編】

ホテルに到着してからは、
とにかく現金をどうにかして手に入れる方法がないか、
情報を集める時間になりました。
まず考えたのは、カード会社への連絡です。
調べていく中で、例外的にキャッシング枠をその場で対応してもらえるケースもある、
という情報を見つけました。
ただ、この時は正月の三が日。
サポートセンターはつながらず、
連絡できるのは翌日以降になります。
とりあえず、翌日に電話することを前提にしつつ、
それまでに他にできることはないか、探すことにしました。
最初に試したのは、ホテルでの対応でした。
クレジットカードの決済自体は問題なく使えるので、
例えばカードで何かを決済する代わりに、
その分の現金を用意してもらえないか。
そういったお願いができないかと思い、
ロビーで相談してみました。
ただ、これはあっさり断られました。
当然といえば当然で、
ホテル側としても対応できる内容ではありません。
次に考えたのは、日本人に頼る方法でした。
例えば、日本人が経営しているお店や、
日本人がいる場所で事情を説明し、
自分の口座から振り込みをするので、
その分を現金で渡してもらえないか。
そういった形なら成立するのではないか、と考えました。
もうホテルの外は暗くなっていました。
そこからは、自分の足であちこちと動き回ることになります。
日本人がいそうな場所や、
日本人が関わっていそうなお店やホテル。
とにかく現金を手に入れるために、
思いつくことを一つずつ試していきました。
ホテルに足を運んだのは、
人が多く集まる場所であれば何か手がかりがあるかもしれないと思ったからです。
正直、余裕のありそうな方であれば話を聞いてもらえるのではないか、
という安直な考えもありました。
実際に、日本人が多そうな日系ホテルにも足を運び、
ロビーにいる方に声をかけてみました。
また、街中で日本語が聞こえてきた時には、
道端でも思い切って話しかけてみることもありました。
ただ、やはり突然のお願いということもあり、
戸惑ったような反応をされることがほとんどで、
「すみません、難しいです」と断られたり、
ホテルの方からも対応できないということで、その場を離れるように言われることもありました。
今振り返ると、
突然見知らぬ人にそのような話を持ちかけるのは、
相手にとっても不安や負担が大きい行為だったと思います。
この時は必死で、そこまで考えが及んでいませんでしたが、
今振り返ると、かなり迷惑な行動だったと反省しています。
ここまで現金にこだわった理由もありました。
台湾では、まだ現金決済の比率が高く、
特に屋台や食堂など、旅行の中で楽しみにしていた場所は、
現金のみ、もしくはQRコード決済
というケースがほとんどです。
クレジットカードが使えない場面が、想像以上に多い。
ではQRコード決済はどうかというと、
これも簡単ではありませんでした。
台湾には独自のQRコード決済が普及していますが、
多くは台湾の銀行口座と紐付いており、
外国人旅行者がそのまま使うことは難しい。
2019年に来た時は、一部でLINE Payが使えたのですが、
現在は日本と台湾で仕組みが分かれており、
以前のようには使えなくなっていました。
(※2026年4月末より、日本のPayPayが台湾でも利用可能になる予定と発表されています。
今年の正月当時は実質的に日本人が使えるQR決済はありませんでした)
つまり、
カードは使える。
でも現金がないと楽しめない。
という状態でした。
色々と試したことで、
現金を手に入れる難しさと、今回キャッシングができなかった理由も少しずつ見えてきました。
クレジットカードには「海外キャッシング枠」というものがあり、
それは事前に申請をしないと使えない場合があるということ。
つまり、現地に来てからではどうにもならない。
完全に想定外でした。
2019年に台湾へ来たときは、
特に何も設定せずにキャッシングができていたからです。
ただ、調べていくと、
近年は不正利用対策の影響もあり、
海外でのキャッシングに制限がかかるカードが増えているようでした。
初日の夜を迎え、色々と試しましたが、
最終的にカード会社への連絡しかないという結論に至りました。
キャッシング枠は本当にもらえるのだろうか。
家族には不安な思いをさせてしまって申し訳ない。
眠れない夜を過ごしました。
そして翌朝、朝食を取りに出ました。
台湾では朝食を外で食べる文化があり、
ローカルの食堂や屋台で食べるのも楽しみの一つでした。
ただ、そういったお店はほとんどが現金のみです。
現金が使えない以上、行くことができませんでした。
そこで、カードが使えるお店を探し、
結局入ったのがコメダ珈琲でした。
店内の雰囲気も、メニューも、ほぼ日本と同じ。
台湾に来ているはずなのに、
やっていることは日本と変わらない。
本来であれば、台湾の朝食を食べたかった。
虚しさを感じながら、クレジットカードで朝食を済ませました。
しかも価格は、日本よりもやや高い印象で、
台湾の中ではどちらかというとコメダ珈琲は高級店のような位置付けでした。
こういう旅がしたかったわけではない。
そんな感覚が、この時はありました。
その後、10時になりカード会社へ連絡しました。
この時はこれが最後の手段だと思っていて、
心を落ち着かせるのに必死でした。
かなり待たされてようやくつながり、
状況を説明しました。
どうにかならないか。
例外的にでも対応してもらえないか。
その一点にかけて、
かなり丁寧に事情を伝えました。
ただ、制度上できることは限られており、
最終的には対応は難しいという結論でした。
思わず、
「こんなに困っているのに、どうして対応してもらえないんですか?」
と強い言葉を出してしまいました。
それでも答えは変わりませんでした。
ここで、はっきり理解しました。
制度の中では、この状況はどうにもならない。
現金を手に入れる最後の手段だと思っていた、カード会社への連絡も実らず、
愕然としながら現実を受け入れることになりました。
家族には、意気消沈しながらも
「ダメだった…でも他の方法を探すよ」と伝え、
一度ホテルに戻りました。
考えられる方法はすべて試しましたが、
どれも結果にはつながりませんでした。
絶望的な状況の中、
ホテルのロビーで一人で座り、
まだ何か方法はないかと考えていると、
日本語で話している人の声が聞こえてきました。
迷いながらも、
日本人の方ですか?と声をかけ、
状況を説明しました。
その方は静かに話を聞いてくださり、
「それは困った状態だね」と受け止めてくれました。
そして、
これしかないけど、使って
と、現金を差し出してくれました。
日本円でおよそ5,000円ほどでした。
「お借りします」と伝えても、
「いいから使って」と言っていただき、
そのまま受け取ることになりました。
その場で、ただただありがとうございますとしか言えませんでした。
ただ、それでも現実的にはまだ足りませんでした。
そこで再び、
現金を手に入れる方法を探し続けました。
昼過ぎ、カード決済ができるスターバックスに入りました。
家族も含めて、疲れは限界に達していました。
正直、どこにいても落ち着かない状態でした。
それでも諦めきれず、
なんとかこの旅を続けるために、他にできることはないか考え続けていました。
その中で思いついたのが、
日本人が集まるゲストハウスでした。
昔、アジアを旅していた時、
見ず知らずの日本人に助けてもらった経験があり、
同じような繋がりがあるかもしれないと思ったからです。
ゲストハウスに電話をかけると、
若そうな男性の方に繋がりました。
事情を説明し、
「オーナーの方はいらっしゃいますか?」と伝えました。
少々お待ちくださいとなり、
しばらくして再び若い男性につながりました。
そして、
「もし私でよければ、振り込み確認できたら現金を渡せますよ」
という返事をいただきました。
初めて、できると言われた瞬間でした。
時間を合わせ、
そのゲストハウスへ向かうことにしました。
約束までの時間、
私は一人で公園を歩きました。
気持ちを落ち着けるためでした。
台湾の公園はとても穏やかで、
木々や鳥、小さな動物がいて、
静かな時間が流れていました。
人々も落ち着いていて、
どこか余白のある空気を感じました。
この時になって、
初めて台湾の空気に触れた気がしました。
その後、ゲストハウスへ向かい、
電話をしてくれた方と対面しました。
若い学生の方で、
台湾の大学に留学しているとのことでした。
一緒にコンビニのATMへ行き、
その場で振り込みを行い、
現金を受け取ることができました。
ようやく、
この旅を続けられる状態になりました。
帰り道、少し話をしました。
突然電話してきて、会ったこともない人にどうしてこんなに親切にしてくれるのですか?
と聞くと、
「困ったときはお互い様ですよ」
と、自然に答えてくれました。
その言葉が、強く印象に残っています。
私は涙を流しながら、
「ありがとうございます」と伝えました。
連絡先は交換しましたが、
その場で登録が完了しておらず、
後日きちんとお礼を伝えられなかったことは、少し心残りです。
それでも、あの時の出来事は、
この旅の中で一番大きな出来事でした。
私はそこで初めて、
この旅に必要な現金を手に入れることができました。
同時に、それ以上に大きなものを受け取った気がしました。
準備や判断に甘さがあったのは、間違いありません。
家族には不安な思いをさせてしまい、大きな失敗でした。
それでも考え続け、諦めなかったことで、
自分にとって大きな学びを得ることができました。
余白やゆとりを持たない設計は、簡単に崩れるのだと実感しました。
この旅は、失敗でした。
でも、間違いなく良い旅でした。
参考:台湾でも「PayPay」が利用可能に
https://about.paypay.ne.jp/pr/20260414/01/